2013年12月03日

神楽坂にゃん子に誘われて

食事場所を探しながら神楽坂の裏通りを歩いていた。近ごろは赤城神社近くの「小諸そば」でとることが多く、ワンコイン前後でそれなりの味のお昼をいただくことができて重宝していたが、たまには神楽坂らしいお店でランチを食べてみようか、そんなことを思ってあてもなく歩き出したのだった。

以前にも食事場所を探して神楽坂の町を歩きまわったことがあった。しかし決めることができず、結局「小諸そば」に戻ってしまったことがあった。今回も決めかねて路地を歩きまわることしばし、突然「ミャー」という鳴き声に呼び止められた。

声の主を捜し求めれば、立て看板の後ろからこちらの様子をうかがっているニャン子がいた。首に赤いおしゃれなバンダナを巻いているところからすると、家猫なのだろう。

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危害を加える人物ではなさそうだと見極めたのか、物陰から出て来るとスタスタと歩き出した。時おり振り返り、あたかも後をついておいでと言いたげな視線を送ってくる。こちらとしても望むところなので、誘われるままに後を追っていったが、小さな公園が見えるあたりで姿を見失ってしまった。

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公園は高台にそびえるビル群に囲まれていた。かろうじて一つ設けられている公園と高台をつなぐ狭くて急な階段がなければ、行き場のない袋小路となっていただろう。そういう空間の底辺から見上げていると、いまにも建物を支えている壁が崩れ落ちてきそうな錯覚さえ覚える。

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階段を上って高台に出れば、そこに延びる小道には石が敷き詰められ、整然と区画整理された住宅地とは異質な雰囲気を醸し出していた。さきほどの猫はどこに行ったのだろう、石畳の路地の先にヒョコッと顔を出し、こっちだよと視線を送ってくれそうな気もするが、人通りのない道が続くだけで猫の子一匹も現れなかった。この道がどこへ続いていくのか定かではないが、引き返してあの窪地に戻るのは避けたい。ともかく行けるところまで行ってみることにした。

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先ほどの願いが通じたのだろうか、しばらく歩みを進めて行くと、道の先にこちらを見つめる猫の姿があるではないか。
「やっと来たね、待ってたよ」
そんなふうに言いたげにも見える。見失った猫と同じように首に赤いバンダナを巻いていたが、別の神楽坂ニャン子だった。

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誘われるまま後についていくと、見覚えのある路地に出た。そこには「ル・ブルターニュ」というレストランがある路地で、何回かその前を通ったことがあった。フランス北部ブルターニュ地方の伝統料理であるガレットを扱う店である。

この路地に足を踏み入れるたびに昼時の店内を覗くと、多くの人で席が占められ、その中には外国人の姿も見えた。フランス人なのかもしれなかった。いくどとなくそば粉を使ったガレットを食してみたいと思ってはみたが、予約するか長時間待たなければ無理だということが予想され、あきらめて通り過ぎるのが常だった。

猫はその「ル・ブルターニュ」の店頭近くで、急に寝ころびこちらを見上げて甘えるような誘うようなしぐさをした。それが何を意味しているか判然としなかったが、場所が場所だけに、その店に案内してくれたような気がして、また以前から気になっていた店だったので、店内を覗いてみた。お昼の時間をだいぶ過ぎていたせいか、いくつかの空席もあった。これなら待たずに済むかなと思った矢先、店内からスタッフが出てきて、待たずに食事を取ることができますよ、と案内してくれた。

かくして食事場所が決まったのだった。ここまで一緒に来たくだんの猫は、大胆にも道の真ん中で身繕いをしていた。

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posted by 里実福太朗 at 23:46 | ■里ふくろうCAT